(2)「試合当日編」 2015、9、26
会場に到着すると、
選手と指導者と付き添う家族で、
なんとも言えない、
張り詰めた緊張感と、
目には見えない、
重い空気が漂っていました。
緊張の面持ちの先輩の中で、
息子は終始、
ニコニコして、
笑顔いっぱいの明るい顔をしていました。
2ー30校が集っていますから、
指導者の声もあちらこちらから聞こえます。
緊張感が張り詰めた空気の、
その中で、
一際大きな声で指導されている方に、
自然を目が向きました。
「いいか!全力出すんだぞ!」
「今までやってきた事思う存分出すんだ!」
「何をビビってんだ!しっかりしろ!」
「今さら緊張するな!」
一際大きかったあの声を掻き消すかのように、
「いいか!最低でもベスト8に入るんだぞ!
それ以下は許さんぞ!
最低でもベスト8だぞ!
それ以下は許さんぞ!
ベスト8以上狙うんだ!
いいか!ベスト8だぞ!」
この指導受けていた2人の女子生徒が、
指導者の顔ではなく、
うなだれて地面を見続けている後姿に、
彼女たちは何を思うのだろう?
彼女たちは何を感じるのだろう?
私の中に様々な疑問が生まれてきました。
そんな光景が、あちらこちらで始まりました。
この異様な空の中、
息子にとっては、
この1,000人近く集まる初めての大きな大会ですから、
気を負いをするのは仕方がないだろうと
私たちは予想していました。
ところがところが、
試合前の全体練習は、
みんなの先頭を歩き
開会式の姿も、
試合が始まるまでの約2時間の待ち時間も、
廊下を歩く時も、
彼は終始笑顔でリラックスして、
大きく見えるほどでした。
周りの先輩といつもと変わりない姿で話をし、
笑い声をあげていました。
「お前緊張しないのか?
相手は強いかな〜
俺緊張してるよ・・・。」
そう話す先輩に、
「自分以外の選手はみんな相手が強いと思うんだぜ!
試合してみたら意外にたいしたことないらしいよ。
兄ちゃん言ってたからホントだよ。」
必死に話す姿に、
横で思わず吹き出す私でした。
さぁ!いよいよ息子の番です。
皆さんは試合直前の子どもさんになんと声をかけますか?
私たちはこう声をかけて息子を送りました。
「楽しんでおいで!いってらっしゃい!」と
「うん!」
満面の笑顔でした。
そして試合へ向かうしろ姿は、
まるでオーラが放たれているようでした。
試合の準備に入った息子は、
表情が変わり、
満面の笑みで試合に向かった息子とは大きく変わっていました。
初の公式試合が始まりました。