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お母さんには無理だよ 2016.05.28
交通事故に遭遇した時の息子の一言
RADIANT SMILEの笠原 睦美です。
昨年の4月末の事でした。
3月から体調を崩していた息子が、
どうにか学校に行ける日が増えてきて、
学校へ送るためにいつもより40分ほど早く家を出ました。
空は曇っていて今にも雨が降りそうです。
交差点を曲がると、
3台くらいの車と10m先に1台ハザードを点滅させて止まっていました。
「事故だね。」と話しながら車を追い越すと、
息子:「お母さん!ヤバイ!人が倒れてる‼︎」
母:「お母さん、何も出来ないよ。」そういって通り過ぎようとすると
息子「お母さんが行かなきゃ!
血が出てるんだよ!お母さんが行かなくて誰が行くんだよ!」
母:「何も持ってないし、お母さんには無理だよ。」といいながら、
(そうだよ。私だよ。私が行かなきゃ。)心の中で会話し、
すぐに車を停めて駆け寄ると、
50才代の男性で、自転車と車が接触したらしく、
身動きもせず、
反応に乏しく、
出血も激しい、
当事者の方が1人そばにいるだけ、
「今、私にできる精一杯の事は?」
救急車の手配もこれからというほどパニック状態。
救急車の手配をした後、
とにかく声を掛け続け、
止血の処置をしていた頃、
雨が降って来た!体温が下がっちゃう!
と思っていた時に、
大人でも近寄る事を拒むほどのこの状況で、
息子は自分の制服のブレザーの脱ぎ、
怪我をしている方に掛け、
膝をついて名前を呼び続け、
手を握り、救急車が来る20分ほどの時間、
みんながどれほど勇気づけられたことでしょう。
他ならぬ、私が一番勇気づけられていました。
息子の一言がなかったら、
私はその場に行くことはありませんでした。
夜、主人に話すと、
「あなた自身より、
子どもたちの方が看護師であるあなたのことを信じてるね。
正直、無理だよって言ったあなたは、あなたらしくない。と思うよ。
一言が人を動かすんだね。
その一言が、一人の人の命を左右するなんて、すごいことだよ。」
そう言われて、今日の出来事の大きさを実感しました。
体調が思わしくないながら、息子の力は、頭が下がりました。
息子に、
「今日は本当にありがとう。
あなたがお母さんに「行かなきゃ!」って言ってもらわなかったら、
動けなかったよ。あなたに感謝してる。ありがとう。」と伝えましたが、
ちょっと多めの血を見た息子は返事もなく、
ますます体調が悪くなり寝込んでしまいました。
この方はその後、
命を取り留め、障害の重さはわかりませんが、
自分で食事とする事ができるようになり、
リハビリ病院に移られてたとのお話を聞き、今回ブログに上げさせていただきました。
誰もが持っている言葉。
その言葉が、
よくも悪くも人を動かします。
言葉の力はすごいですよ。本当に。
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